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更新日:2025年12月3日
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尾崎行雄議員の質問への答弁概要
森林政策について
(仮称)静岡市森林づくり基本計画について
環境林と循環林に区分した森林における経営管理の基本的な考え方と、森林担当部署を環境局に移管した理由はどのようか。
これまで静岡市は、森林行政と言いつつ、実態は林業行政でした。
しかし、戦後の拡大造林政策により植栽されたスギやヒノキの人工林が伐採期を迎える一方で、森林所有者の高齢化などにより、個人での山林の手入れが難しくなっています。また、木材価格の低迷、急峻な地形による木材搬出の困難さから、森林に費用をかけて手を入れても、その費用を収入によって回収できないため、本来行われるべき森林管理が行われないことにより、荒廃した人工林が増加しています。
このため、森林が持つことが期待されている公益的機能が十分に発揮できず、土砂災害の発生リスクを高める要因ともなっています。
このまま木材生産を行うことを中心とした森林行政を続けていては、森林の荒廃がさらに進行することになり、懸念される荒廃した人工林の問題解決ともなりません。
このため、静岡市としては、森林全体の公益的機能の高度化を考えるという視点に立ち、市独自の定義により、市内の森林を森林の公益的機能の高度発揮を目指す「環境林」と、木材生産を主体とした森林の循環利用を行いつつ森林の公益的機能も発揮する「循環林」とに区分し、その機能と特性に応じた森林経営管理を進める方針を打ち出しました。
他自治体においても、「環境林」や「経済林」という言葉を使っているところはありますが、その定義は、まちまちで定まっておりません。
静岡市としては、環境林にも経済価値があるので、木材生産する森林だけを経済林と定義すべきではないと考えました。
この観点から環境林、循環林という静岡市独自の定義を行いました。
そして、環境林、循環林が、それぞれ公益的機能を発揮できるようにします。
環境林では、森林の持つ公益的機能を評価した新しい森林カーボンクレジットを創出し、そのクレジット売却による収入を森林所有者に還元します。
そのことが木材生産による収入がなくても森林所有者自らが森林経営管理を行うことを促します。また、企業等がクレジット購入を通じ、森林経営管理に貢献する仕組みも構築します。
このように、木材生産、木の循環利用をしない森林においても、経済価値を評価した新たな取組を実施します。
一方、循環林では、木材生産力を高めるとともに、環境価値も発揮できるよう、生物多様性の保全などの環境価値にも配慮した森林経営管理を行っていると第三者機関が審査・認証された森林面積を拡大します。
これにより、オクシズ材の価値を高め、需要拡大を図っていきます。
環境政策を所管する環境局に森林政策を行う部門を移し、環境局内に「森林経営管理課」を新設した理由については、森林の持つ環境価値と経済価値の双方を総合的に評価し、適切な森林行政を推進していくためには、従来の経済産業政策としてではなく、環境管理の視点に重きを置いて政策立案し、政策執行していくことが、必要があると判断したためです。
静岡市としては、経済価値と環境価値を兼ね備えた森林を次世代へ確実に引き継ぐことができるよう、森林経営管理を強化してまいります。